――いつかの朝――
[>>181自分の腹の虫に急かされ、目を覚ます。
鼻をひくひくさせて今朝のメニューの予想をしながら、無い尾の代わりに布団からはみ出した爪先でぱたぱた不機嫌にシーツを叩いて小さくむずがり背を突く指への抗議を]
[気紛れに野良猫に餌をやりに来る、彼の意図は未だに判らないから礼を言った事は一度も無かった、
けれど、皆が集まる食堂に顔を出す事を嫌う自分に、暖かい内に食事を運んでくれるのは都合がよく有り難かったから、文句を言った事も一度も無かった。
頼んでまで望む訳ではないので催促した事も無かったけれど]
…たべる。
[返した言葉はたったそれだけ。顔を見せて挨拶をするでもない。
けれど既に心得た彼なら文句も叱りも無いだろうと気安い心地で居られた]