[左手の甲で熱の辺りを拭えば、べったりと紅が張り付く] っつぅ……。[僅かに息を呑んだ後、ちら、と後方 ── 対岸へと視線を流した。砦で見た顔が居た気がしたが、果たしてどうだったか。はっきりと確認する前にオクタヴィアスは馬腹を蹴る] 右翼弓兵、応戦せよ![火矢を射掛ける時に一時停止させていた弓兵に攻撃の再開を指示し、オクタヴィアスは堀側まで退避した][上流の橋からの援軍は今しばらく時間を要する。対岸に残る敵部隊がどう動くか、窺うようにしながら顔の矢傷をもう一度手の甲で拭った*]