ー船内通路ー
[しかし...と。心の中で呟く。
それは、目の前でこうして話している相手が
普段から責任感があり、こうしてこの状況を、重く、深く、真剣に捉えている人物だからこそか。
それとも、目の前の人物から、自覚はないにしろ、疑いの目を向けられているからか。
ジークは、話ながら徐々にある感情を大きくしていた。
恐怖である。
心のどこかで、自分を除外していたのかもしれない、あるいは始めから交わっておらず、客観視していたのかもしれない。この状況を
そうして、ここで会話をしていく度に、人が、話した事がある人が死んでいく度にどんどん思い知るのだ。
自分も間違いなくこの船内にいると。
例外なく死ぬ可能性もあると。
徐々に鼓動を激しくしていた。
怖かった。どこかで安心がしたかった。
ーだから]
ねぇ、ガートルードさん。
だからさ...
[僕を安心させてほしい。
そんな言葉は恐怖に遮られ。
せめて血液の検査だけでもさせて欲しい、とまで言うに至らず。そこまでしか聞こえてない人物に
注射器なんて向けたら、どう思うだろうか。]