[血が啜られる悦楽と、そして増して行く渇きに、はぁ……と苦しいため息をつく。牙が離れた。傷口を這う舌の感触。ああ、クロイツは優しい人だ。ゆっくりと目を開き、離れたクロイツを感情のない目で見る]……だから、「私」はあの方から逃げなければいけない。あの方を拒み、自由を望み、死を希う、清らかな「元・神父」でいなきゃいけないんです。「現・吸血鬼」になった途端、あの方はきっと「私」はあの方にとって、星の数ほどいる詰らない信望者の一人になり果てる。あの方はきっと興味を失う。だから。