― 処刑後/2-2号室前 ―
……神父様。
[その日の夜。
深夜になる前に、周りに誰もいないことを確認してからジムゾンの部屋の前へ立った。]
そのままで構いませんので、聞いてください。
[彼からすれば、自分は人狼の可能性がある。逆も然りだけれど。
だから、扉越しでいいと、開けようとすれば止めただろう。]
既にご存知かもしれませんが。
わたくしの実家……タートザッヘ家は、占いの力に通じる家系です。
その昔には、わたくしなどよりずっと強い異能を持った方も、いたそうです。
そして……兄ロベールは、その方と同じように、人狼騒動でなくとも人狼を見つけ出せる、強い異能を持っていました。
わたくしは、――私は、力をほとんど持たない、できそこないだったのです。