――いや、アイリ、回復はいい!
まずは自分を優先してくれ!
[所詮は掠り傷、一戦終えた後の治療でも間に合うと、自分を奮い立たせる。
実際、アイリのように回復する手段はなくとも、地の魔力による肉体強化が、毒の侵入を大きく遅らせてはいた。
とはいえ、二度、三度と繰り返される尾の連撃を、体も武器も重量級の男は捌き切れず。
細かい傷が増え、脂汗と動きの鈍りは、隠せないものとなっていく]
くそ、このままじゃ……。
[焦りと共に大蛇を見据えた時、ひとつ、気付くことがあった。
尾の動きこそ素早いが、その支点――つまり腹に当たる部分は、連撃の間はほぼ動かない]
あそこに、攻撃が届けば――!
[しかし、当然ながら尾の攻撃は、接近を許してなどくれず。
遠距離に攻撃を届かせる手段があればと、思わずにはいられない]