― オプティモ到着前・船上 ―
私の父は、それこそ大きな高い壁のような人だった。頑固で強かで、理不尽と不正をなにより憎み、庇護する者や領民を護るためにはあらゆるものに全力で牙を剥く。ある意味、私以上に王府の官僚貴族には煙たがられていたような男だ。
私は未だに、あの父を超えられた、という気がしない。
[唐突にこんな風に話し始めるのは、すでに何度目か…男が今まで滅多な者には語らなかったことなのは確かだった]
あの結界は父のようなものだと、今の私は思っている。宝珠を護りし巫女姫が、ナミュールの母のような存在であるように。
[それはカナンの求める答えではなかったかもしれないが*]