―― 回想・医務室からメイン・サロン ――
船に誰かが置いて行って、貰って。
それから、ずっと。
……幸せもの、の反対だろうな。
[成長に合わせた大きさの楽器を揃えることもなく、成長して漸く楽器の大きさに体が追い付いたのだったか。
次に続く言葉は、楽器を、音楽を、誰よりも愛するであろう彼の前では、口にすべきことではないと分かっていたけれど。]
仕舞には、燃やすものがなくて焚火に放り込むことになったから。
いま持ってるのは、その後で買った。
[懺悔するように、ほつりと、自嘲めいた笑みで言葉を落す。
どうしても、幸せものと頷くことは出来ず。
どう思われようと、事情まで零したのは、自身のことを告げたトール相手には、どうしてか言葉を伝えたくなってしまうところが、あったから]