― 虚無の深淵 ―[『虚無』の本体が大きく震えるのを、やや高い位置から見下ろしていた。 分身を砕かれた『虚無』は、自ら仇なす者を捉えんとするかのように、触手を伸ばす>>297] ……ついに本体の方が動いたか。[異様な姿に思わず顔をしかめる。 そこにシリルの声>>298が届いて、意識をそちらへ向けた] 一撃必殺――か。[試そうと思っていたことがあった。 敢えて高い位置を陣取ろうとしたのもその布石だ。 けれどそれは、むしろ道を拓くための手段と思っていたから]