[>>295先を進む足取りはゆっくりとしたもの。
シモンが代わりに説明をしてくれたので、
それに口を挟む事なく、額に伝う汗を手の甲で拭う。
体力不足だ――、
旅に慣れているというのにも関わらず、
山道を少し歩いただけでも、疲労を覚える足に舌打ちを。]
……順路では無い方角だな、確かに。
[息がきれていないだけ、まあマシか。
言葉少なに頷き、そしてよもや崖から落ちて無いかと不安を覚える。]
ヨアヒム、……焦っている様子だったからな…。
大きな怪我を負ってたりしなければ良いのだが。
[落ち着いてから動けと忠告したものの、
聞き入れていない状態だった青年を思えば、不安は強まる。]