― オプティモ到着前・船上 ―
[向けられたカナンの問い>>77に、男は一度、海の向こうに視線を投げる]
郷愁か…
[胸に過るのは、かつての友と、もう一人、遠い日、傍らにいた少女の面影。
異郷の客人を祖母に持っていたその少女は、サシャと同じように、祖母の故郷を見ることを願い、その願い果たさぬまま病に散った。
今のナミュールでも、まだ治せぬ病…]
郷愁ではなく憧憬だろうな。外にはきっと、私たちの知らぬ、広く美しい世界があると、そう信じ願っていた。
[外へ向かおうとした事は否定はしないが、宝珠を壊そうとしたことがあるのか、という言葉には、まさか、と言いながら笑う]
私は壁を越えようとしただけだ、この国の護りを壊そうなどとは思わんさ。
[それほどの度胸は無いよ、とおどけてから、ふいに真顔になる]