人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


邪眼の怪物 クレメンス

[無垢を抱いた腕から伝わるのは、確かな忌避だった。>>271

 彼の持つ穢れ無き魂と翼は、神が寵愛したもの。
 白き光と空の蒼、彼は天上の玲瓏を編んで出来ていた。

 主神を賛美し謳った唇が、今は朝露以外に濡れている。
 蜜を舐めた訳でもないのに、とろりと艶を持ち、拒絶を口にするたび覗く舌にも蠱惑が乗り。それでいて、穢れを察して戦慄いている。

 万里を見通す眼を持つ魔物は、審美眼にも長けていた。
 黄金比を計って成形されたこの天使は、姿かたちだけでなくその魂も美しく高潔な比率を有す。>>272

 勇敢だね。
 恐れても構わないのだよ、私の興が削げるだけだ。

[真実など何処にもない口振りで、彼の啖呵に笑うは悪質な揶揄。
 この程度で折れる偽りの輝きではないと知るが故、貴婦人をダンスに誘う素振りで彼の背を支え直した。]

(301) 2018/03/20(Tue) 02:11:34

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