[>>279もしも己にあの力があったなら。
一人安らげる場所を作る為に使うだろう。
それが具体的にどのようなものかは知らないが。
貴族の子弟であっても、
まして疎んじられた身では尚の事、成人したとて家から与えられるものはない。
居心地の悪い家から出るのなら、騎士を目指すのが一番早かったのだ。
そうして選び取った今では唯一つの道。
けれど、これ程までの無力感を味わったのは初めてかもしれない。]
……それも、吸血鬼の力か。
[ならば、青年の命の光も見えているのだろうか。
さぞかし醜い色だろうと思う。
部下が宥めているのが聞こえるが、子供の泣き声は止まず。]