[気位の高い王姉の妻に苦労していた学者肌の父親は、息子の死の後、見る影もなく痩せて後を追うように病で亡くなった。その時初めて、第一位王位継承者だからではなく、父が本当に、一人の息子として、兄を大切に想っていたのだと知った。同じ顔をしていても、兄の身代わりに王位継承権を維持しても、“わたし”では、父にとっての、生きようと思う理由にはなれなかった…。代わりになど、なれるはずもないのは、分かっていたけれど。それでもせめて、何か……何かしてあげられることがあったなら…。]