[感情を抑えていたら、動かそうと色々やられた。
泣くまいとすれば泣かされ、それに怒るまいとすれば怒らされ。
……結局、最後は、笑わされた。
それがあったから、今の自分がある。
刻まれしものの重圧に屈せずに、道拓かんと槍を振るえる自分がいる。
それとわかっているから、厭う事はない。
ないのだけれど]
……やれ、やれ。
[幾度か言葉にしかけたものの。
結局、一度もそこに至らぬものが過って、消えて。
軍議の招集がかかったのは、そんな折。
表情引き締め、了解の意を伝えた後。
もう一度、黒馬の鬣を梳いてから、軍議の場となる天幕へと足を向けた]