― 連邦軍野営地・軍議用天幕 ―
[驚きの時が過ぎ去れば、クリフの纏う空気は責務負うもののそれになる。
もう一緒に歌って踊ったあの時とは違うのだと不意の感慨を覚えたが、それはこちらも同じなのだった。]
今回、マルールの全軍を預かるのは、タイガ・メイズリーク・ユリハルシラ司令官。俺の、兄だ。
司令官から連邦の指揮官に伝言がある。
「ブリュノー王の死後、国を纏められなかった第一王子に国政を摂るのは難しいだろう。しばらくティルカンに留学して帝王学を学んで来られるがよい。」
第一王子はもう歩けるのだから、自分の生きる場所を探しに行くべきだろう。
家は一番若い者に譲るべきだ、と俺は思ってる。
[使者の役割のついでに、自分の考えも告げる。]