― 回想・或いは夢の中: ―
――母さん、ベネット、元気ですか?
長かった学院生活も終わって、やっと故郷に帰ることが出来ます。
ここから母さんのところまでは何万光年も離れてるけど…
このシルバー・メリー号なら亜空間ジャンプでひとっ飛びさ!
[旅の土産で膨れ上がったカバンを抱え、息を弾ませ船の中をかけていく。]
[何かにぶつかる音がして、思わず尻もちをついた。顔を上げると、正面に同じように尻もちをついた男がいた]
す、すみません!大丈夫でしたか?
[駆け寄って謝ると、男は大丈夫だからといって、床に落ちた”黒い箱”>>214を拾った。
そのまま男はその場を立ち去り、僕もさほど気にも留めずに部屋へと急いだ。]
[やがて、何処かから金切り声が響き、ざわめきと怒号が船内を覆った。]
『なんだ喧嘩か?』『ちょっとやばいんじゃないか?』
『誰か止めて!』
『おい!危ないぞ!』
[不安と恐怖のざわめきの中に、か細い獣の咆哮が聴こえ]
[やがて視界が 紅く 歪む――]