――回想・厨房――
[>>177肌に牙を突き立てられる感触は何度体験しても馴れるものでもなく、小さく身を震わせて息を詰めた。
折角胃に物を入れて温まり始めるところだったのに、指先からひんやりと熱が失せ始める。譲り与える量に対して摂取してきた量が圧倒的に少な過ぎるから必然と貧血は付き纏う。
お蔭で劣情がなりを潜めてくれるのは少しだけ有り難かった。
誰の目にも、懐いて居る様には見え難かったかもしれないが、心の中でひっそりと、兄のように慕っていた心算の彼にだけは、妙な気を起こすのは避けたかったから。
>>178裏切り者が最後の最期で初めて正しく裏切った事を意外そうに問う彼に少しだけ、笑う]
リエヴルの野郎は胡散臭くて好きじゃねぇ
アンタの弟の為ってのも癪だ、
が、アンタの事は嫌いじゃない。
…長い事、暖かいメシ食わせて貰ったしなァ。
暖かい飯が腹いっぱい食えるのは幸せな事だ。