(……俺の所為か)
[そう思う心が、裡にある。
自分が彼らの背を押したのか。だから追い詰めたのか。
彼が思い詰めるほど、己の覚悟を示さねばと思うほど、
自分が彼を追い詰めたのではなかったか。
彼とは、士官学校の同期であった。
彼とは、同じ寮の仲間であった。
そして同じ公国の人間で、同じように名門の、
同じように少し主流から少しだけ外れた位置の人間だった。
だから気安かった。だから厳しくもあった。
同じ年で、似たような立場で似たような昇進をした。
競争心もあったのだと思う。
だから指揮官としての覚悟にも在り様にも厳しくあったし、
だからこそ───…彼ならばと期待して、甘えてもいた]
(………お前の心を、)