― 回想・出立前 ― 掛け値なしの賞賛は照れるんだって。[巨漢にばんばんと肩を叩かれると、 体が前後に揺さぶられるようで多少くらくらする。 体幹は過去よりも整っているはずだが、流石クマの手と笑って 大きく広げられたマーティンの大腕を見詰める。>>338] 努力は無駄じゃない…… か。 ……うん。 ありがとう、マーティンさん。[腕で囲える広さ。 この範囲に何を容れるかを考える。 今の自分ならば同胞を友を仲間を、慕う兄を。 その全てを護るのは難しくとも。]