[ ここに男が同行してきた兵はあくまで私兵。本来の守備兵は丸ごと領地に残っている。家令は、王府からの要求があれば主人の不在を理由に回答を引き延ばす筈だ ]『果実を、船に積み込め』[ 男は、当面の方策として、意味を知らねば読み取れぬ簡易な伝言を結んだ鳩を、領地に飛ばすよう、指示を出した。船というのが、今海に浮かぶものではない、と、知る者は少ないはず** ]