[声を掛けられた時点でさっさと逃げればよかったのに、つい人のよさそうな顔と、のんびりした声に、逃げ出す機会を無くしていた。
うまくすればもうちょっとチシャをもらえるんじゃないかとまで思っていたら、畑仕事をさせられそうになって慌てたものだ。
ルーリーの男に、畑仕事ほど似合わないものはない。]
代金代わりに一曲歌うから、それで勘弁してよ。
それで気に入ったらもう1個ちょうだい。
美味かったから、母さんにも食べさせたいんだ。
[お人よしっぽいから押せるんじゃないかな、なんて小悪魔的に強請ったのだった。]