―回想:カレルに出会う前―
[ふーらふーらとのんびり歩く。
それこそが、時間に縛られない仕事の特権な訳で。]
(ええと、明日はあの子にご飯をあげて、
次の時期の種まきもそろそろね……)
[とはいえ、脳内は仕事モードだったりするから、いわば年中仕事をしているだけなのかもしれないけれど。
と、そんなことを考えていると、キョロキョロと周囲を見回している女性を発見。
ベニバナのような綺麗な中紅花色の髪を結いあげた女性>>206 は、船員であることを示す制服を着ているが、……どうやら迷っているらしかった。>>293]
ねぇ……もしかして迷ってるのかしら?
……、……あれ?
もしかして、小さい頃に船に乗ってた……かしら?
[十数年前に、自分が船に乗ったときに、ちらと見かけたような気もする。>>290
そのときはお話しできたのだったか、それともできていなかったのか。
しかし、その綺麗な髪に、見覚えがあるような気がうっすらとしており、ついそんな言葉がこぼれていた。
もし違っていれば、ごめんなさいねと謝って、どこに行きたいのかを尋ねるだろう。*]