[本棚際へ追い詰めた男の背筋へ手のひらを這わせる。
服と、肺腑越し。前胸に刻印された咎人の証へと、意図を貫かせるように。
体をひねる動作があればその手はふわり離れ、振り返ったタクマの顔を間近に眺めた]
…私達は貴方に惹かれ、貴方を選んだのだよ
[紅榴候は恩赦の権を持つ代わり、断罪には携わらない。
真に己の罪を識るのは己自身のみ。
他者がその罪を罪と定めるも、罰を罰と定めるも、宵闇に行われる暗闘の一部なのだろう。或いは…罰にかこつけた欲望が犠牲者を欲しただけ]
すなわち貴方の振る舞いが、貴方を此処へ招かせた
[愉しませてくれるのだろう?
囁きは紡ぐ。羽毛の柔らかさに柘榴の妖を滲ませて]