― 後日/ゲオルグ邸 ―
[ 調達したオルヴァルの瓶を抱え、すでに通い慣れたゲオルグの家の扉をくぐる。目が合う暇もなく逃げ出したのは、古株の猫で、きょとんとした顔で見上げてくるのは新入りの子猫だった。
男は、その様子に、笑みを零してから、ゲオルグの問いに視線を上げた>>236 ]
何言ってんですか。こんな骨折程度で呑めないなんて言ったら、ウルケルの男の名折れってもんです。
[ 右肩に向けられた視線に、笑って返す。強がりではなく、本気でそう思っているという顔なのはゲオルグの目にも判っただろう。
やはり、顔を合わせなければ伝えられないことも、ある ]