[問いかけに妖白狼はぶるるる、と身を震わせた後、伏していた身を起こし]
『……まあ、ちょっと気になる所がなくもないけど、どうやら、歪みの源にはなりそうにないし。
これなら、奥のあれこれも鎮められるかなぁ』
奥の……鎮める?
『うん。
実は、天輪湖とは別に暴れてるのがいてねぇ。
天龍滝のとこにいるから、どーあっても出くわすからさぁ』
[だから通したくなかったんだ、と。
あっけらかんとした口調で告げた後、妖白狼は状況を話し始める。
半年前から、天輪湖で異常発生している精霊力は、おかしな『澱み』を抱えている事。
そしてその『澱み』が、風龍峡のもうひとりの守り人である自身の相棒を侵食し、暴走している事。
あれを鎮められるだけのものがないと先に進むどころじゃないから、道を閉ざしていた、と軽い口調のままで語り]