[自信満々に告げるゲルトを見て、目の中に暗い光が一瞬宿る。]
ゲルトさん。その本、僕もこっそり読ませてもらえませんか?
[二人きりだけど声を潜めて熱心に頼む。ゲルトは快く「いいよ!」と了解してくれた。ありがとうございます!と答えながらも、頭に浮かぶのは全く別のこと。
人狼の対策について知っているかもしれないゲルトに、この先邪魔をされたら凄くやっかいだ。おまけにゲルトは男性としては細身だし、不意をつけば十分取り押さえることが可能だろう。
パンを良く買ってくれるゲルトには恩義がある。しかし今は、人狼に仕える本能の方が勝っていた。]