― 城内 ―[―――バルティ、と朗々とした声が古城に響く。所々崩壊していたが、この男にとっては大した問題ではなかった。ただ、高く大声で友の名を呼ぶ。灰と化した彼にもう一度見えるなど、奇跡に等しいことであったが、己の右腕は、彼の居場所を知る。城内のどこかに転がっているだろう己の腕よりも、ずっと本当の意味で右腕に近い友を探して。]