―少し前・医務室―[>>271女性兵も兄を亡くしたと聞けば、男ははたと我に返ったように彼女の方を見た。]そう…なのか。[同じ喪失を体験したらしい彼女が泣きそうな顔で俯くのを見て、男は心に鈍い痛みを覚える。痛みを覚えた時の何かを思い出したのだろう。それには触れないでおく事にして。気遣いのつもりが更に羞恥を招いた事に気付けば謝ろうとして喉の手前で謝罪の言葉を殺した。この場合、謝られた方がより恥ずかしくなるだろう、と。*]