[彼の言葉への肯定の変わりに己は難しい顔を一度晒し。彼女を抱き寄せ、踵を返す。>>235素直な彼の愛子は、随分と不器用な男を選んだ。部屋を出る折、顔も見せず、ポツリと呟いた言葉はそれでも精一杯の。] ―――式にくらいは、呼んでやる。[耳裏に微かに走る朱が、惚れ込む深度を語る。己の羞恥に暮れる表情など、彼女だけが知れば良い。*]