― 街 ―
[街の惨状は、想像以上だった。
吸血鬼たちが襲ってきた、というだけでは収まらないなにかがある。
荒れた痕やら、今も聞こえてくる悲鳴の割には、死体が見当たらないけれど。
歩く内、視界が赤いことに気がついて、咄嗟に口を布で覆った。
ヤバさの元凶はこれだと勘が囁く。
図書館から連れ出された時は、あまりにも朦朧としていて気づかなかったけれど、吸い込むだけで、なんか頭がぼうっとしてくる。]
やばいやばい。
なるべく吸わないようにしないとか。
[まったく何なんだよと悪態をつきつつ、ひとまずは荷物を回収しようと図書館へ向かった。
現在位置が若干不明だけれども、教会を目印にして歩けば大体なんとかなるものだ。*]