矢を放て!!
[ 男の号令に従って、弓兵が番える矢は鉄の鏃、そしてその軸には油をたっぷり染み込ませた布が幾重にも巻き付けられている。 ]
火樽を投げろ!
[ 続いての命は、油入りの樽を、木材を支柱とした羽板の一方に乗せて、反対の端を叩く事で、敵船向かって投擲するる合図。
樽の箍は緩めてあり、上手く届けば、中味を一面にぶちまけ、後を追って放たれる火矢の炎を、先に撃ち込まれた油布付きの矢との相乗で拡げる算段。
矢数を費やすことの出来ないゼファーが、効率的に、敵船に炎の返礼をする為の秘策だが、十分に近付けたとは言いがたい距離だ。ゼファー兵の鍛えた腕をもってしても、どれ程の数が届くかは分からない。 ]