[頭を撫でられても、振り払う事は出来なかった。
最後だから、と言い訳をして。
ぎゅうっと抱き着いて、名残惜しんで。
海賊船に向かって、大きく頭を下げる。
お金も受け取って貰えなかったから、彼らにとっては本当の慈善活動。
じんわりと熱くなる目をそのままに、綻ぶように笑って。
後ろを見たら、駆け戻ってしまいそうだったから。
振り返りもせずに、走る。走る。
銀羊号に乗り、そっと隠れるように発つ宇宙船を見て。
そのアクアマリンの瞳から、大粒の涙をこぼしたのだ。
泣いたのはきっと、それが 最後 のことだった。 ]*