さてと、行きますか!
[>>235お腹が満たされれば、気力も充填されて。
肩を軽く回しながらそう言って気合いを入れる。
――確認するように首飾りの赤翡翠にそっと触れて。
奈良町の街並みを東に向かって歩き、玲緒を先導する形で新薬師寺を目指す。
やがて住宅街にひっそりと建つ南門が見えてくる。
うっかりすると通り過ぎてしまいそうだ。
近くにある鏡神社の赤い鳥居の方が人目を引くだろう。
境内を挟んだ赤壁の店の側には、子供を背負った母親を模しているらしい大きな埴輪が立っている。
素朴な愛らしさに、あたしは思わずそれも写真に残した。]