[そっと、左手でつかんだ便箋を幼馴染の目の前に差し出して、口を動かしてみせるも、空気が漏れ出るような音しかでないのは力が再生に勝手にまわされているからだ。口惜しい。
言ってやりたい言葉とか色々あった気がする。のだ。
聖将にも、副将にも、神の子にも、聖女候補にも、クレスにもオズにも。
前庭であった吸血鬼や、アプサラスという名の吸血鬼にもだ。
それも命とともに徐々に落ちて消えていく。
一度だけ首を緩く曲げ、女吸血鬼>>277を見遣るもやはり声はでず、だが目の色には増悪や敵愾心ではない怒りと感謝を綯交ぜにした色を宿して幼馴染のほうに顔を戻した]