― 天輪湖 ―[風まとい翔けた一対が鈍色の龍へと一撃を突き立てる。その瞬間に知れた事は知る由ないものの] …………。[天龍に沿うように、ぴぃぴぃと鳴く仔竜の声。しあわせだよ、と伝えるそれに、ふ、と息を吐いた] ……そっか。[遠い異郷の地で生まれて生きる事が虹の仔竜にとって幸いと言えるのかどうか。心の隅に抱えていた疑問がふっと溶けていく。やがて、鈍色の龍は解けるように消えてゆき――]