[男の足が止まればそれに従って足を止める。
思いもよらぬ謝罪の言葉>>277に、少女は俯いて答える。
睫毛が頬に影を落とした。]
……謝らなければならないのは、私のほう。
ごめんなさい、我を忘れるほど飢えたことがなかったの、よりにもよってあなたを傷つけるなんて。
[その言葉は言外に「あなた以外なら傷つけても良かった」と聞こえるであろうものだが、構いもせず。
唇を噛んで、涙を押しとどめようとした。]
こんなに悪趣味な余興だとは思わなかったわ。
早く出ないと。
[男の話を聞いているんだかいないんだか。
自分自身に言い聞かせるように呟いた。]