[「ユーリエが亡くなったらしいの」と、アリーセが書簡を手に泣き腫らした眼を向けてきたのは確か、出産の直後のことだ。その頃には両国の情勢が悪化の一途を辿るばかりであったから、直接の手紙は届くことなく、友人の手を回り回って届いた報せだ。漸くノトカーの噂を耳にすることが出来たのは、近年のことだ。「隻眼のラムスドルフ」――英雄として称え上げられる、彼のもう一つの名。*]