[ それだけでいい、本当にそれだけの――ささやかな願いだったのに、世界は無情にもその人を永遠に連れ去ってしまう。ごめんね、ずっと大好き――――最後にそう呟いて、腕の中の彼女はがっくりと力を失った。>>231 傍らにいたヴィンセントを見上げると、涙があふれ出て冷たくなっていく小さな胸にぽたぽたと落ちた。もう二度と彼女の笑顔とは会えない事を悟って、いつまでも、いつまでもその場から動けずにいた――。** ]