……本当に、この体にガルーがいないかは、
もしかしたら、自分でも分からないことなのかもしれない。
けど、カシム少佐を殺してなんかいない。
これまで、記憶が抜けるようなこともなかったから、
それは、確かだ。
[ドロシーに検分して貰ったことから、きっと大丈夫なのだろうとは、思っている。
けれど、今ここで伝えようとするのは、そのことではなくて。
向かい合って語る、その言葉と、
ただ真っ直ぐに見つめ返す、土色だけ。
その“殺意”が、己を人狼と強く見なしてのものであっても、そうではなかったとしても。>>264
彼女は、人狼であるかもしれないと疑う相手を、『一人で』この部屋に呼び出して、確認しようとしている。
――… 分からずにいられるわけがない。
その“彼女”のことは、
その身に潜むガルーのことも、その思いも、
どうしたって、分かってなんか、いないのに。
ああ、本当に、知らずにいることばかりだ。]