[それらの品々を押し付けたなら]
飴玉はもう少し必要かなとは思ったんだけど
[と、付け足して]
ヤコウタケのうちいくつかは別な用途に使っちゃったから、ごめん。
[「まあ、僕ができるだけ与えればいいわけだけどさ」そう言いながら
授業を再開した男の背後には氷細工の純白の菖蒲――>>202
織り手から「娘が作った」と贈られた、
光を透かす美しい華は溶けゆく姿も儚げで
溶けきる前に街へ行かなければならないとなった際
男が帰還までの間、氷の華が熱で散ってしまわないように、知恵を絞ったものだった]
― 回想・了 ―