『いえ……それ、投与された側は、大丈夫なんですかね?』
もちろんそのままでは、異質な細胞の増殖で拒絶反応を起こして死ぬだろうな。
そこで先日発注した寄生虫の出番だ。あれは免疫系に作用してアレルギーを抑える成分を分泌する。
あれをベースに改良を続けていけば、おそらく命に関わるほどの反応は抑制できるようになるだろう。
『その投与で寄生が拡大する危険はありませんか? ガルーの寄生経路は不明ですが……』
大丈夫だ、問題ない。脳細胞に寄生するガルーが、脳のない単細胞生物を媒介とするのは論理的に考えられない。
『じゃあ、安全だとしてですよ。たとえば宇宙港でこの方法を使う場合、乗客と同数の検査員が必要になりますよね』
それは……安価な奴隷でも大量に輸入して……まあ、その奴隷を検査する必要が新たに生じるが……。
『ガルーは亜種も多いですし、変化も様々だといいますよ。そう都合よく、判り易い変化が生じるものですかね』
む……、それはそうだが。
『第一、地球系に近い外見の種族以外はどうするんです? 元から獣みたいな外見の連邦加入種族もいますけど――』