[床に投げられた木片は砕け散り、代わりに術者の幻影が立ち現れる。宮殿の外へと駆け出した幻を追って、怒り狂った赤い悪魔は地を蹴り翼を羽搏かせて出ていった。防御陣に守られた、本物の術師には気づかぬまま。幻影の行く先は設定していなかったが、ひょっとすると、なにがしかの縁がある者に引かれていくかもしれない。たとえば、先ほど気を注いだ相手、とか。]