その頃の私は、いっつもママの後ろについて回ってたから……
[ちょこまかちょこまか後ろを走り回りながらも母の仕事を見るのが大好きだった彼女にとって、このシルバー・メリー号は懐かしの場所なのである。
総会へ赴く時は、いつもこの船に乗っていた。
それに、この船にはいろんな思い出も詰まっている。
総会に出席する人との交流や、乗組員とのお喋りだって、少女にとってはとても楽しい思い出のひとつ。
この広いようで狭い船の中。母が病に倒れるまでの長いようで短い5年間。
ここでの人々との一期一会は、とても刺激のあるものだったから。
それからさらに10年が経ち、もう一度乗る機会が得られた時。本当に嬉しかったのだ。]