[柔らかな白い布の上に身を起こす。栗色の髪の先からぽろ、と渇いた泥が落ちた。眠るうちに目立つ汚れだけは拭われていたが、そうとははっきり理解しない。四角い匣──個室は広くはないが寝台は上質なもの] …? [何かに違和感があって、指先を見つめた。冷えきるばかりだった末端にまで、微温のぬくもりが行き渡っているような。ゆっくりと握り込み、また開いてみる。 動く]