― 回想・いつかのフェルゼンベルク ―[ 街が、燃えていた。どうやってそこまで辿り着いたのかもはや分からない。とにかく死ぬ気で馬を走らせた。あちこちに見える消火活動のお蔭か炎は少しづつ鎮火しつつあり、それでも、胸の中は焼け付くように痛い。 ]…謝らないといけないこと…あるの……もらった指輪……無くなっちゃったの……ユーリエ……[ 握った小さな右手はかすかに震えて。指輪をはめていた左手は……どこにも、見当たらなかった。 ]