旅人 ニコラス

― 宿屋の談話室 ―

[投票結果が発表された途端、潤みかかった目でディーターを見つめて、一言呟いた。]

ディーターの馬鹿。

[客観的に見たら、そりゃいくらなんでもないだろう！　な台詞だ。
何しろ伝承者にとどめの一言を告げたのは、他らなぬ自分自身。つまり処刑に追いやったようなものだからだ。

そのまま潤んだ瞳で黙ったままじーっと見つめたあと、いきなりディーターに花吹雪を浴びせた。]

なんであんな……あんな、自白するようなこと言っちゃうんだよ！？
今日は僕、ディーターの話をじっくり聞こうって決めてたのに。

本当は二年前、君に高い酒をのまれちゃったときに、当分お土産持ってこない！　って決めてた。実際去年はなかったろ？　……でもこうなったら話は別だ！
食らえ飴ちゃん攻撃！　酒の代わりにこれでも舐めてろ！

[そう言いながらディーターに飴入りの瓶を押し付けた。*]