[繰り出された神獣角が、鈍色の龍の眉間を捉える。
直後、白銀と虹色の光が周囲に散った]
……っ!
[突き立った槍を介して流れ込むのは天龍の記憶。
産まれた卵が孵る前に、力尽きてしまったこと。
その際に生じた精霊力の乱れが、一方を龍玉石へと変性させてしまったこと。
子を守れぬ事への、置き去りにしてしまった事への悔いが自身の昇天をよしとできず、そのまま留まり続けていたら卵が奪われた事。
全てを喪ったと思って、でも、この地から離れられなくて漂っていた時。
喪ったはずの仔の気配が、遠い場所から感じられて。
違う方の仔の気配が、別の場所から感じられて。
仔らの無事が嬉しくて、けれど、この地に縛されているからその傍にもいけなくて。
天輪湖の守りを乱せば行けるのでは、との思いから精霊力を集めて暴走させて――そこを、滲み出てきた『虚無』に突かれて、そして]