―回想:研究所にて―
――今度のは凄いぞ! 完璧だ!!
[電子顕微鏡を覗き込んで、男は歓声を上げた。
とある海洋惑星の海底熱水噴出孔で採取されたバクテリア。
未だ正式名称さえ未定の辺境の星で、凍結したCO2の氷河から発見された原生生物。
その他諸々を強制的に共生させ、遺伝子を弄くり、あれやこれやと試行錯誤した結果のものだ。
『なにが凄いんです?』という助手の問いに、男は上機嫌に応じる]
ああ――こいつのベースになったのはだね。
生物の細胞の性質をコピーし、同化した対象の一部として増殖していく性質を有している単細胞生物だ。
それを私は、一度コピーした性質を維持し、その性質を示しつつ別の生物に同化するようにと変質させた。
さて、ガルーの性質のひとつに、宿主を獣に変えようとするというものがある。
つまり、寄生されたの宿主の肉体は大なり小なり原種から変質しているわけだが――、
[長々と理論を説明し、まとめに入る]