馬鹿げているさ。
戦は争う理由がある者が代理を立てれば立てるほど、面倒臭くややこしく、悲惨になっていく。
俺は自分の手で殴り合って得るものでは無い王座には、然程興味は無いんだ。
[僅かばかり不満げに動いた表情に、男の瞳が喜色に染まった。
覗き込めば、青年と言葉を交わすこと自体が嬉しくて仕方が無い、というのが容易く読み取れたであろう。
首だけで振り返ると、二匹のハイイロオオカミはすっかり元のサイズで、どこかへ連れ立って行った。]
縄張り警備だ、そのうち戻る。
[二匹の動向に触れてから、雷花の群れの中に青年を降ろしてやる。
見下ろす位置に戻った彼の銀を帯びた青い双眸を見詰めて。]